作業療法を実施するためには人体の構造や組織の知識が不可欠です。解剖学では、骨・筋・関節の構造や神経系、循環器系、呼吸器系、消化器系、感覚器系などを教授します。生理学では、細胞や神経系、運動器系、感覚器系、循環器系、消化器系などの生理的作用を教授します。
作業療法の歴史を踏まえて、リハビリテーションにおける作業療法の位置づけの理解を深め、作業療法の定義や対象、役割を総合的かつ体系的に教授します。また、作業療法の理論をもとに一般的に行われている作業療法の治療展開の解説も行います。
作業療法では、全人間的評価と専門的評価によって対象者の状態を把握することが必要不可欠です。リハビリテーション医療における作業療法評価の意義などの総論をはじめ、運動機能や生理機能、精神心理機能、日常生活活動能力などの評価法について教授し、検査・測定技法の実習も行います。また、精神科作業療法の評価法、基本的な対象者理解とかかわり方、集団や地域生活の評価も教授します。
作業療法における作業の本質にせまり,作業が人とその健康にどのように関わるかを教授します。また,作業の分析や指導法についての解説も行います。実習では、作業療法で頻回に用いられる手工芸やレクリエーションなどについて、作業技術を講義した後に、実際に体験して技能を学習します。作業工程についての理解を深め、作業を作業療法の治療技術として考察する視点を教授します。
作業療法の基本的体系を体験し、4年次の臨床実習に向けて身体障害に対する作業療法の評価から治療プログラムまでを実施し、一連の作業療法の流れを整理・記録・報告することを目標とした実習を川崎医科大学附属病院で行います。また、学外の精神科病院・施設において、作業療法士の役割を知り、精神障害のある人々との交流を通して、共感力、観察力、評価力を養います。
食事や更衣などの日常生活活動について、その概念や様々な活動の遂行に必要な要素を教授します。さらに、疾患ごとの評価方法や治療方法について基本的な事項を教授します。実習では、様々な障害に合わせた指導方法や介助方法を学習し、日常生活活動場面で用いる福祉用具の適応や住宅改修を含めた生活環境の工夫も教授します。
学外実習施設において、臨床実習指導者の下で作業療法の対象となる各種疾患の急性期・回復期・維持期の作業療法の見学、評価や治療を体験します。身体的・心理的・社会的状況などの評価の実施、評価結果の分析から総合判断を基に行う作業療法プログラムの作成や実施、効果判定の体験など、作業療法の一連の流れを経験し、臨床推論能力を養います。
作業療法を科学的に探究する姿勢と視点を磨き、将来、作業療法分野の研究が実施できることを目標とします。作業療法における研究動機を指導教員とともに考え、生じた疑問に対して研究を計画し解決する過程を学びます。就職後にも常に疑問を持ち、対象者や作業療法の発展に寄与できる力を養います。