医療と福祉は、思想的には元来同根のものである。近年、この両分野を連携から一歩進めて融合的に体系化しようとする動きが強まっている。そうした背景を踏まえつつ、医療福祉学を人間学の立場から、また実践科学の立場から研究する科目である。Ⅰでは、市民生活の背景と実状を検討し、人々のウェルビーイング実現にむけて体系的に研究する。さらにⅡでは、医療福祉学の臨床的、実践的な視点から、高齢者問題、児童問題、障害者問題など複合化・複雑化する課題に対し、制度論の立場から、また地域福祉、施設福祉の実践の立場から、医療福祉サービスのあり方について多面的に研究する。
生活の多様化、グローバル化に伴い、複雑化・多様化する生活課題を解決するためには、さまざまな専門分野に関する知識を統合し、活用する能力が求められる。Ⅰでは、医療福祉領域の基盤となる社会科学の学説・方法の基礎を理解するために文献や先行研究を整理し、研究方法を修得する。Ⅱでは,精神保健、医療福祉、児童福祉、高齢者福祉、障害者福祉、地域福祉など各領域の基礎的な理論を学び、自らの実践や研究領域と結びつけて研究する。
指導教員の下で医療福祉学に関わる研究領域のなかから主体的に研究課題を選び、指導教員は、その課題に則した研究計画を立案させ、研究の実施を集中的に助言、指導する場とする。あわせて、博士論文の作成について指導する。また、研究活動や研究発表を通して実践的能力と行動力、さらに、問題解決能力、論理的思考能力およびコミュニケーション能力を修得するとともに博士論文を完成させ、関連学会誌に投稿する準備を行う。