なぜ、11月14日が「世界糖尿病デー」なのでしょうか。その理由を知ることは、現代における糖尿病に対する意識(自己管理や予防を含め)を高める一助となると考えます。2021年の世界の糖尿病患者数は5億3,700万人に上り、糖尿病は死亡や障害の主な原因の一つとなっています。この病気は古代から存在が知られていましたが、1921年、バンティング博士らは膵臓からインスリンを抽出し、1型糖尿病の患者に投与することで、数百万人の命を救いました。現代では、治療(薬物療法、運動療法、食事療法など)の目標は、血糖値や体重、血圧、血清脂質などの値を良好にコントロールし、合併症の発症や進展を予防し、健康な人と同じような生活を送ることです。
わずか9週間の研究で、古代から人類を悩ませてきた難病である糖尿病に光を当てたバンティング博士の誕生日、11月14日は、そのため「世界糖尿病デー」として定められたのです。
臨床栄養学科 教授 佐々木環
糖尿病自体は画像で診断する疾患ではありませんが、その様々な合併症の診断や治療には画像診断が役立ちます。糖尿病が長期に渡るとCTでは膵臓や腎臓の萎縮が観察されます。糖尿病は膵臓がん発症のリスクを高めますが、逆に膵臓がんが糖尿病の原因になることもあります。いずれにしても膵臓がんは見つけにくいがんとして知られており、早期発見するためには定期的な腹部超音波検査をお勧めします。そこで少しでも怪しい所見が見られましたら、造影CTやMRIで精査することで早期発見に繋がります。また心臓の冠動脈が狭窄/閉塞すると、狭心症や心筋梗塞といった命に関わる病態を引き起こします。冠動脈の評価は心臓カテーテル検査で行いますが、最近ではCTによる冠動脈評価も可能です。下肢動脈が閉塞すると閉塞性動脈硬化症を起こしますが、この評価もCTやMRIで可能です。糖尿病と診断されましたら症状に応じて定期的に画像検査を行うことが、合併症を早期に発見するコツだと思います。
診療放射線技術学科 教授 佐藤修平
腎不全とは、腎臓の機能が著しく低下し、体内の老廃物や余分な水分を適切に排出できなくなる状態を指します。これにより、体調が悪化し、最終的には透析治療が必要となります。しかし、多くの患者さんが透析治療に対して「つらい」「大変」「怖い」といった不安を抱えています。だからこそ、病状が進行する前の段階で、腎臓の働きや腎不全のリスク、透析治療の実態について正しく理解しておくことが重要です。
臨床工学技士の役割は、医療機器の操作・保守にとどまりません。透析治療においては、患者さんの血液を安全に浄化するための機器を管理するだけでなく、患者さん一人ひとりの状態を細かく把握し、適切な透析条件を提案することも大切な業務です。治療の過程では、患者さんとの対話を通じて透析治療条件の再検討や患者さんの不安を和らげることも求められます。
今回の講演では、広く知られている「血液透析」に加え、自宅で行う「腹膜透析」についてもお話しし、それぞれの特徴や選択肢について理解を深めていただく機会となりました。
本講座が、糖尿病とその合併症に関する正しい知識の普及につながり、皆さまの健康管理にお役立ていただければ幸いです。今後も、医療に関する知識をわかりやすくお伝えし、皆さまの健康維持に貢献できるよう努めてまいります。
臨床工学科 准教授 小野淳一
今回は、健康運動指導士の立場からお話しさせていただきました。多くの人が運動の重要性を知っているものの、実際に運動習慣を持つ人は少ないです。そこで、運動習慣のない人でも始めやすい「少し」の身体活動を話しのテーマとしました。
例えば、エレベーターの代わりに階段を使う、立っている時に足踏みをする、座っている時間を立つ時間に変える、座っている時でも足を動かしてみるなど、日常生活に10分の身体活動を取り入れるだけでも、糖尿病予防など多くの健康効果が期待できます。そして、「少し」の身体活動を始めると、意識が変わり、最初は特別だった「少し」が当たり前になります。この少しの行動が健康づくりにつながり、たくさんの幸せを生み出すかもしれないと考えるとワクワクしませんか?今から始めてみましょう。
本学健康体育学科では、倉敷市スポーツ振興協会と連携した運動教室を開催しています。健康づくりを学ぶ機会にもなりますので、ご都合があえばぜひご参加ください。
今回ご紹介した内容が少しでも皆さんの健康づくりに役立つことを願っています。
健康体育学科 講師 山形高司
糖尿病の食事について、テレビやインターネットには様々な情報があふれています。一体どんな食事をしたらいいんだろうと、疑問に思われている方も多いため、今回は基本的なお話をさせていただきました。
65歳を過ぎた方は、過度な肥満でない限りは減量よりも体重維持を目標にしましょう。糖質制限などをされる方もいますが、糖質は脳の主要なエネルギー源であり、極端に制限してしまうと集中力や思考力が低下する可能性があります。一方脂質も身体の重要なエネルギー源であり、脂溶性ビタミンの吸収を助けたりする働きがあり、不足すると免疫機能が落ちたり肌荒れが起こりやすくなります。糖質が気になる方は、肉じゃがやカボチャの煮つけなど炭水化物である芋類を使うときはいつもよりご飯を少なめにし、白米に玄米や雑穀を加えてみましょう。脂質が気になる方はバラ肉を控えたり魚料理の回数を増やしてみましょう。
極端な食事制限はせず、腹八分目で栄養バランスの取れた食事を心がけましょう。
臨床栄養学科 助教 小椋いずみ
講座名 | 今さらだけど、今から学ぶ糖尿病 | |
---|---|---|
内容 | 糖尿病、よく耳にする病気ですが、基本的なことをご存じですか。なぜ病気になるのか、何に気を付けると予防できるのか、糖尿病になるとどうなるのか、最新の治療法や動向など、各分野の専門家から詳しく、分かりやすくご説明します。病気を深く知り、上手に怖がり、上手に付き合い、糖尿病についてみんなで勉強しましょう。 | |
講師 | 講演1 |
11月14日世界糖尿病デー それは何故?臨床栄養学科 教授 佐々木 環 |
講演2 |
画像でみる糖尿病診療放射線技術学科 教授 佐藤 修平 |
|
講演3 |
糖尿病の合併症:腎不全と透析治療について臨床工学科 准教授 小野 淳一 |
|
講演4 |
体を動かして糖尿病予防:身近な“少し”から健康体育学科 講師 山形 高司 |
|
講演5 |
糖尿病の食事、本当は何が正解?臨床栄養学科 助教 小椋 いずみ |
|
日時 | 2025年1月11日(土)10:00~12:00(9:30開場)終了しました | |
コーディネーター | 臨床栄養学科 講師 河邉 聡子 | |
会場 | 川崎医療短期大学 100大講義室 (岡山市北区中山下二丁目1番70号) |
|
対象 | どなたでも受講いただけます。 | |
申込方法 | 電話もしくはお申し込みフォームよりお申し込みください。定員になり次第受付を終了いたします。受付を終了しました | |
主催 | 川崎医療福祉大学 |
認知症は超高齢社会に生きる誰にとっても避けられない課題です。これまで認知症は予防も改善もできないというこれまでの常識が、医学の進歩によって少しずつ変わりつつあります。認知症への取組は関心が高く、連日ニュースやTV番組で取り上げられています。今回、お話をさせていただくにあたり、まずテーマの「自分らしく生き抜くこと」とは何かについて考えました。それは住み慣れた場所でなじみのある大切な方々とこれまでの生活を続けることではないでしょうか。心と身体を健康に保ち、できれば認知機能の低下を少なくすることが大切であると思います。
早期の認知症や軽度認知障害の発見について、脳の中のわずかな変化は症状だけではわからないこともあり、難しい問題です。気になることがありましたら、認知症疾患医療センターにご相談ください。早めの対策が安心につながります。
さらに予防としてご紹介したコグニサイズを実践いただきたいと思います。日頃の散歩や体操に認知課題を組み合わせるだけで行えます。間違えるくらいの少し難しい課題が効果的です。継続は力なり、仲間と一緒に支えあい、励まし、笑いあって続けていただきたいと思います。
今回の発表を担当させていただき、超高齢社会を生き抜くには、運動、栄養、認知活動などを人任せにしない、主体的な取組が求められることも実感しました。
今回ご参加いただいたみなさまの取組からは、認知症に向かう力強さが伝わってきました。一人では難しいことも力を合わせると大きな成果につながります。これが地域共生、一緒に認知症対策を続けていきましょう。
言語聴覚療法学科 准教授 太田信子
今回の講演では、身体的および社会的フレイルに関して理学療法士の視点から説明させていただきました。「健康」には病気の存在の有無ではなく、地域社会で生活するための身体および精神機能が維持できているかが重要です。一方で、フレイルの原因には、老化だけでなく病気や入院、環境の変化が大きく関わります。このようにフレイル予防には、環境の変化に対する対策と病気や入院をした後の回復(リハビリテーション)が必要不可欠となります。その中でも、「フレイルドミノ」という言葉があるように、フレイルの始まりには社会的フレイル(社会的孤独)が関連し、その後に種々の機能障害が生じていることが示されています。友人と出かけることや地域のコミュニティに参加するなどの外出機会を作ることが一つのフレイル予防への対策となります。講演の後半では、身体的なフレイルの簡単な評価方法やトレーニング方法を説明しました。日常的に行うペットボトルの開封や横断歩道などでも自分自身の身体的機能の変化に気づくことができます。今回紹介した身体機能評価が自分自身の身体機能を見つめ直す一つの機会となり、今後の運動意欲の向上などにつながれば幸いです。
今回は、多くの地域の方々にこのような講演をさせていただくことができ、加えて理学療法学科の学生もサポーターとして参加させていただき非常な有意義な経験となりました。私自身もこれまでの臨床の経験を活かし、今後も大学から地域の方々への発信や啓発活動を行っていきたいと思います。この度は誠にありがとうございました。
理学療法学科 助教 佐藤宏樹
今日のお話はいかがでしたか。日ごろの食事を少し顧みる時間にしていただけると嬉しいです。フレイル予防は、食事がとても大切です。少し工夫をするだけで、防ぐことができます。まずは、今の自分の状態を知る、身長や体重を測定し“BMI”を計算してみてください。目標とするBMIなのか、低栄養や肥満の状態なのか、目標とするBMIの範囲であれば、現状を維持してください。低栄養や肥満の場合は、まず栄養バランスの良い食事を考えてください。認知症を予防するうえでも食べることを考えることは良いとされています。その時に、日本型食生活である“一汁三菜”を思い出して実行してください。これがバランスの取れた食事の良い例です。その中でも、特にこれから不足する栄養素、主菜に用いられるたんぱく質を摂ることを積極的に行ってください。体のたんぱく質は、毎日ターンオーバーを繰り返すため、新しいものの補給が必要です。体を動かす筋肉のためにもたんぱく質は、必要です。朝、昼、夕の3食必ず片手1つ分程度のたんぱく質食品(肉、魚、卵、大豆製品、牛乳、乳製品)を摂りましょう。レシピの他、簡単に食べられる工夫、たんぱく質が豊富に含まれるお菓子をご紹介しました。それらを適宜取り入れて無理なく摂取しましょう。そして、食事は、楽しむことがとても大切です。孤食と低栄養が認知機能に影響がある、との報告もあります。たまには大人数で、お話をしながら食事をする機会を設けてみましょう。
食べる楽しみをいつまでも、そして、いつまでもお元気に。
追記:たんぱく質摂取をお勧めしましたが、腎臓に疾患のある方、病院で栄養指導を受けられている方は、主治医の指示に従ってください。
臨床栄養学科 講師 河邉聡子
講座名 | 高齢化社会を自分らしく生き抜くために-認知症の予防と早期発見- | |
---|---|---|
講師 |
認知症の早期発見と予防法言語聴覚療法学科 准教授 太田 信子 高齢化社会の中で認知症の予防や早期発見にますます注目が集まっています。参加者の皆さんに活動状況をチェックしていただき、個々に応じた認知症予防の運動や活動をご紹介します。 |
|
身体機能の評価やトレーニング方法理学療法学科 助教 佐藤 宏樹 自宅でも可能な身体機能の評価やトレーニング方法をお伝えします。実際に参加者の皆さんと一緒に体を動かしながら体験していただきます。 |
||
美味しく食べてフレイル予防臨床栄養学科 講師 河邉 聡子 身体的にフレイルであることは、認知機能の低下、認知症のリスクを高める可能性があります。早めに気づき、取り組むことで健康に戻ることができます。特に食事は大切、簡単に取り入れられるポイントをご紹介します。 |
||
日時 | 12月7日(土)10:00~12:00終了しました | |
コーディネーター | 言語聴覚療法学科 准教授 太田 信子 | |
会場 | 川崎医療福祉大学 講義棟3601教室 会場案内の地図はこちら |
|
対象 | どなたでも受講いただけます。 (筆記用具をご持参ください) |
|
申込方法 | 事前のお申し込みは不要です。 | |
主催 | 川崎医療福祉大学 |
講座名 | 本日開学!かわさきいりょうふくシゴト大学 | |
---|---|---|
内容 |
医療福祉のシゴトって、お医者さんと看護師さんだけだと思っていませんか? 実は、みなさんが知らないたくさんの魅力的なシゴトがあるんです。大学にきて、いろんなシゴトを体験してみませんか?すてきな将来の夢が見つかるかも...! 講座後には修了証書をお渡しします。夏休みの宿題や自由課題にもピッタリです。
|
|
日時 | 8月19日(月)13:00~15:30(12:30 受付開始)終了しました | |
コーディネーター | 作業療法学科 教授 黒住 千春 臨床工学科 教授 逸見 知弘 |
|
会場 | 川崎医療福祉大学 2階インフォメーションホール 会場案内の地図はこちら |
|
対象 | 小学生 (中学生もご参加いただけますが、講座内容は小学生を対象としていることを了承の上ご参加ください) |
|
定員 | 先着100名 (定員になり次第、募集を締め切ります。) |
|
申込方法 | 事前のお申し込みが必要です。定員に達したため受付を終了しました 当日は筆記用具をご持参ください。 |
|
主催 | 川崎医療福祉大学 |
今回、講義の中で強調したかったことは、発達障害について多くの人に理解してもらいたい、という気持ちはもちろんですが、それ以上に、そもそも「障害」について正しく理解してもらいたい、という思いでした。これは、障害について学ぶ学生たちにいつも伝えていることです。日本において「障害」は、しばしば悪いことやいけないこと、大変なことというようなマイナスな偏見や先入観にとらわれやすい言葉ですが、それはすべて障害を正しく知らないことから生じる誤解であり、障害はそんなことを表した言葉ではありません。講義の中では、障害は「つまずき」であり、単に「違い」を表す言葉に過ぎないことを強調しました。「大人の発達障害」を切り口にして、障害についてもっと前向きに考えることができないか、今回の講義では、そうしたメッセージを込めたつもりです。障害を持つ人たちの多様性を認めた上で、共生社会を実現するためには、支援と理解が当然必要です。しかもその支援は「個々に合わせた特別な支援」であるはずで、それを提供できる社会に向けて、どんなことができるのか、考える機会を提供できたのであれば意義深いと思います。
今回、非常に多くの地域の方たちに、一緒に考えてもらえる機会を提供できたことは自分としてもとても有意義な経験でした。大学からの地域への発信の一助になれたことは、自分自身の大きな手応えにもなりました。どうもありがとうございました。
医療福祉学科 准教授 諏訪利明
講座名 | 大人の発達障害 | |
---|---|---|
内容 |
大人になってから自分が「発達障害である」と気づく人たちがいます。自分のお子さんが発達障害と診断されたことをきっかけに、自分も発達障害だったと診断を受ける人などさまざまなケースがあります。それまでの自分の生きづらさが「発達障害」であったことに気づく安心感はあるものの、新しい自分とどう付き合うか、彼らには特別な支援が必要な場合もあるように思います。大人の発達障害の現状を、新しい時代の発達障害や支援の考え方とともにお伝えしたいと思います。 |
|
日時 | 5月25日(土)10:00~12:00終了しました | |
コーディネーター | 医療福祉学科 講師 直島 克樹 | |
講師 | 医療福祉学科 准教授 諏訪 利明 | |
会場 | 川崎医療福祉大学 講義棟4601教室 会場案内の地図はこちら |
|
対象 | どなたでも受講いただけます。 | |
受講料 | 無料 | |
申込方法 | 事前のお申し込みは不要です。 | |
主催 | 川崎医療福祉大学 |