2018/12/14 LSC(ラーニング・サポート・センター)企画講座として、生物学のサイエンスカフェを実施しました。

現代医学は当然のことながら科学的な知見を元に成り立っています。一方で、医療を受ける目的は、病気の治癒という個人的な問題の解決です。治って欲しいという希望に対しては、残念ながら、非科学的・疑似科学的な思想や行為の付け入る状況が生まれてしまい、結果的に科学的な医療を阻害してしまう場合もあります。例えば、「藁にも縋る」という言葉がありますが、“藁”を頼りにすることで“船”を見逃し、溺れることがないようにしなければならなりません。これは、社会における科学リテラシーの問題でもありますが、特に、医療に関わる人間は科学的な医療としての“船”を、“藁”と区別して提供することが求められています。

将来、医療福祉に携わる本学学生にとっても、科学リテラシーの向上が強く望まれます。そこで今回は、まず学生に“Science(科学)”をより身近に感じてもらうために、SFをテーマとしたサイエンスカフェ「Science Fiction (SF)の実現可能性を生物学から考えよう」を企画・実施しました(日時:12月5日 5限〜、場所:5003教室)。カフェと銘打っていますが、参加者各々で話すのではなく、お菓子とドリンクを片手に全員でフリートークを進めるといった形式です。1、2年生を中心に37名の参加者があり、活発な議論が行われました。

トーク内容としては、冒頭で映画「ジュラシックパーク」の設定や、その実現可能性について解説し、また、アニメ「ポケットモンスター」についての解釈(人はポケモンである)を会場に投げかけました。その後、それに応えて次々と発言があり、会場全体で議題を考える雰囲気で進行する事ができました。SF映画に関しては、「スパイダーマン」の能力獲得とトランスジェニックのような遺伝子組換え、「エイリアン」の体組成や生殖方法と昆虫の単為生殖などのアナロジーについて話題の提供がありました。さらに、SFの枠からも生物学からも外れ、タイムトラベラー・タイムマシンの存在可能性、This Man(夢に共通に現れる人間)が脳内の現象としてどのように説明できるのか、はたまた、ライブに参加する高揚感と健康の関係性や、人の運命は決まっているのかといった、学生たちが常日頃疑問に思っている内容について、楽しみながらも真剣に論理を当てはめていく事ができたと思います。

重要な点は、これら多くの議題が学生から発信された事にあると思っています。教員が答えることも多くありましたが、それに呼応して参加者全体で個々の話題について考えることができていました。もちろん、ほとんどが正解としての結論を導くことができない内容ですし、荒唐無稽な言説もたくさんありました。しかしながら、多くの参加者は、何となく受け入れていた疑問を、いつもと異なる視点で考察する経験ができたと考えています。このような企画が、参加学生にとって論理的に物事を考えるきっかけとなり、将来的に医療を提供する立場で活躍するための一助となればと願っています。