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2019/03/14 ノースカロライナ州TEACCH訪問

TEACCHを訪問するようになって今回で7回目になります。実はこの訪問は2013年から始まっています。TEACCHコースに通う大学院生たちに、TEACCHの現場に触れてもらう機会を提供したいと思い、年に1回実施しています。その都度、参加メンバーは変わり、内容も変化し、いっぺんに3カ所のTEACCHセンターを回った年(2017年 この内容については、同行の武井祐子先生により川崎医療福祉大学附属心理・教育相談室年報 第12巻 2017 pp1-7で報告済)もあれば、1か所のTEACCHセンターでじっくり学びを深めた年(2014年、2015年、2018年)もありました。振り返ってみれば、この期間は、ローラ・クリンガー先生が新しくTEACCHの統括ディレクターに就任し、自閉症をめぐるそれまでの状況の変化に伴って、TEACCH自体も変わっていった時期ともいえます。こうした変化を毎年の訪問でじかに感じながら、一方で、20数年前、自分がノースカロライナTEACCH部の研修留学生として1年間学んだ頃と何も変わらないところも確かめることができたと思っています。「自閉症から始まる」「家族と協働する」「アセスメントを大切にする」「自立的生活を目指す」自分の臨床で大切にしているキーワードは、みんなTEACCHから学んだものです。

今回は、残念ながら、予定していた大学院生が急遽キャンセルとなり、訪問するかどうか悩みましたが、学生が行かないのなら今回は先生の顔をしなくてもいいのでは?という声に押されて、それもそうだ、と考え直し出発することになりました。いつもとはまた違う心構えで参加した訪問だったと思います。

今回のツアーは、3月4日から13日までの10日間で、そのうちノースカロライナ州で一番の大都会シャーロットTEACCHセンターに3日間、研究の総本山ともいえるチャペルヒルTEACCHセンターに1日間訪問しました。シャーロットでは、高機能自閉症者の診断から評価のプロセス、それに伴う診断ツールや評価ツールに触れることができました。また大学院の授業の一つ「TEACCHプログラム演習」の中で実施しているPEP-3という評価検査の現場に入らせてもらい、評価とまさにその場で家族にフィードバックしていく様子を観察することができました。チャペルヒルでは、就労支援サービスの実際を見学した後、TEACCHで実施されている学齢期以上の療育サービスについての講義を受けました。幼児期から学齢期、青年期をへて成人期へと、自閉症支援のサービスがつながっていく様子を垣間見ることができました。毎回いつも情報は盛りだくさんで、あわただしくもあり、あっという間の時間なのですが、今回も貴重な情報をたくさん得て、戻ってくることができました。
  • シャーロットTEACCHセンターのディレクタージョイス・ラム先生と心理のサラ先生
  • チャペルヒルTEACCHセンター、メリーベス先生と
  • 就労支援、マイク・チャップマン先生