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教職員コラム 心理学って役に立つんじゃ~分散学習~ 山根 嵩史

 私の専門である教育心理学では,教育・学習に関係する様々な要因について研究が行われています。研究対象は学習者や指導者,学習方法,学習環境など多岐にわたりますが,例えば「効果的な勉強法とはどんなものか」,「勉強ができる人になるにはどうすればよいか」といった問いに答えるのも教育心理学の役割です。なんだか,いかにも役に立ちそうですよね。
 そんな教育心理学の知見の1つをご紹介します。以下の2つの勉強方法のうち,より効果がある(成績が伸びる)のはどちらだと思いますか?

正解は…Aです。同じ時間や回数勉強をする場合,まとめて勉強するよりも適度に間隔を空けて勉強した方が,記憶に残りやすいと言われています。これは分散学習,あるいは学習の分散効果と呼ばれ,単純な身体動作の習得から,単語の記憶のような学校での勉強に近い状況まで,幅広く効果が確認されています。

 この分散学習について,もう一つ面白いことが分かっています。それは,「学習者は分散学習が効果的であることにあまり気づいていない」ということです。それどころか,「集中学習の方が効果的だと思っている」というデータもあります(Zechmeister & Shaughnessy, 1980)。教育場面に限らず,自分の考えや思い込みが実態とズレている,ということは多々あります。このようなズレを発見し,その仕組みを解明することが,心理学の面白さなのではないかと思っています。

山根 嵩史

引用文献:Zechmeister, E. B., & Shaughnessy, J. J. (1980). When you know that you know and when you think that you know but you don’t. Bulletin of the Psychonomic Society, 15(1), 41-44.

教職員コラム 「私の好きな都道府県!~あなたも行ってみられぇ~:高知県」 山根 嵩史

 私の趣味はコーヒー,日本酒,水族館巡り,キャンプにサウナなど色々あるのですが,これらの情報収集をしていると度々アンテナに引っかかるのが高知県です。岡山からだと近いように見えてなかなかアクセスが難しく,行ってみたいお店や場所のリストが増えていくばかりですが,そのぶん実際に訪れたときのことは鮮明に記憶しています。

 10年ほど前になりますが,高知の桂浜にホエールウォッチングをしに行ったことがあります。港から小型船で沖合に出てクジラを探すのですが,海といえば島がいくつも見える瀬戸内海の風景(“多島美”と呼ぶそうですね)ばかり見ていた私は,どこを見渡しても島一つない水平線という太平洋の景色にまず感動したことを覚えています。その時のクルーズでは運良くイルカの群れや本命のクジラにも会うことができ,「クジラを見る」という長年の夢の1つを叶えることができたのでした。

 

 そういえば,その時に見たクジラについて当時は“ニタリクジラ”と説明されたのですが,その後分類が変わって今では高知近海のクジラは“カツオクジラ”という近縁種に認定されたそうで…あ,長くなりそうなのでこの辺でやめておきますね。

 足摺岬の近くにある足摺海洋館にも行きました。小規模ながらも管理の行き届いた水族館で当時も良い雰囲気だったのですが,2020年にリニューアルオープンしたとのことで,いずれ再訪したいものです。敷地内には足摺海底館(記事冒頭の写真がそれです)もあり,大海原と砂岩の雄大な自然の中に妙な形の人工物がポツンとある様子が何ともいえない異世界感を醸し出していて,こちらもお勧めです。

 

 他にも,高知にはまだまだ行ってみたいスポットが沢山あります。水族館マニアとしてはむろと廃校水族館や桂浜水族館といった個性的な水族館は外せません。四万十川や仁淀川流域には良さげなキャンプ場がありますし,お気に入りの日本酒の酒蔵の見学も…。

 ということで,「私の好きな」というよりも,「なんだか気になる」高知県のご紹介でした。今年こそは,と目論んでいるのが須崎のメジカです。カツオの仲間なのですが,非常に傷みやすいため市場に出回らず,漁港のある須崎市まで出向かないと食べることができません。ですが,その味は絶品なのだとか…き,気になる!

山根 嵩史

教職員コラム 「私のイチオシ心理学キーワード:クレバー・ハンス」 山根 嵩史

 クレバー・ハンス(賢馬ハンス)とは,19世紀末のベルリンで話題になった馬の名前です。心理学では古くから動物を対象とした実験が行われており,教科書にも様々な動物が登場します(“パブロフの犬”なんかは有名ですね)。しかし,ハンスはこれらの動物たちとはまた違った形で,心理学の発展に貢献しました。

 ハンスの逸話として伝わっているのは次のようなものです。ハンスは非常に賢く,人の言葉を理解し,様々な問題に回答することができました。計算問題が得意で,加減乗除や分数の計算まで出来たというから驚きです。もちろん,ハンスが人語を喋れるわけではないので,問題が与えられたら正解の数だけ蹄で地面を叩く,といった方法で回答したようです。ハンスの調教師であったオステンによる宣伝効果もあり,ハンスは一躍有名馬となりました。「オステンのトリックなのではないか」という疑いから調査チームも結成されましたが,ハンスはオステン以外が出題者の場合にも問題に正解することができ,一度は「トリックではない」というお墨付きも出たそうです。

 しかしながら,当時の心理学者シュトゥンプと,その学生プフングストによる追加の調査によって,残念ながらハンスは人の言葉が分かるわけでも,計算ができるわけでもない,ということが明らかになりました。鍵となるのは「出題者が問題の答えを知っているかどうか」でした。出題者が答えを知っている場合,ハンスは9割以上の確率で正解できたのですが,出題者も答えを知らない場合には正答率が約1割まで下がってしまったのです。シュトゥンプとプフングストの結論は,「ハンスは問題に答えているのではなく,(答えを知っている)出題者の微細な体の動きに反応している」というものでした。オステンも他の出題者も,ハンスが正解することを期待するあまり,本人も意図しない形でヒントを与えてしまっていたわけです。

 このハンスの逸話は,おそらく心理学科の学生さんであれば誰でも,心理学研究法に関する授業で(“実験者期待効果”や“ブラインド・テスト”といったキーワードとともに)学ぶことになります。改めて書き起こしてみると,落語のような展開のなかに心理学研究のエッセンスが詰まっていて,やはり良いエピソードだな,と感心します。そういえば,数年前にもワールドカップの結果を予言できるタコがニュースになったりしていました。人間以外の動物にも,ついつい我々と同じような知性を見出したくなってしまうのが,人間の性なのかもしれませんね。

山根 嵩史

教職員コラム お題「今,熱中していること ver.2023」 山根 嵩史

 皆さんは「サ活」という言葉をご存じでしょうか。サークル活動…ではありません。サ活の“サ”はサークルでもサッカーでもサイエンスでもなく,サウナのことです。コロナ禍が落ち着き始めた頃からでしょうか,テレビやYouTubeでサウナの情報が頻繁に流れてくるようになり,もともと温泉や銭湯が好きだったこともあって,ブームに乗っかる形でサウナ通い(=サ活)を始めました。頻度はそれほど多くないのですが,月に2~3回程度は通っています。

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教職員コラム お題「私の研究テーマ」 山根 嵩史

 テレビを見る,文章を読む,何かを考える,誰かと会話をするなど,我々は目を覚ましている時間のほとんどを,頭を働かせながら過ごしています。こうした頭の中の働きのことを,ざっくりと”認知活動”と呼びます。さらに,我々は,認知活動を(ある程度)自分自身でコントロールすることもできます。文章を読んでいて,知らない単語が出てきたら読むのを中断してスマホで検索をする,あるいは会話中に,言い間違いに気づいてすぐに訂正する,といった具合です。

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