教職員コラム 心理学って役に立つんじゃ~分散学習~ 山根 嵩史

 私の専門である教育心理学では,教育・学習に関係する様々な要因について研究が行われています。研究対象は学習者や指導者,学習方法,学習環境など多岐にわたりますが,例えば「効果的な勉強法とはどんなものか」,「勉強ができる人になるにはどうすればよいか」といった問いに答えるのも教育心理学の役割です。なんだか,いかにも役に立ちそうですよね。
 そんな教育心理学の知見の1つをご紹介します。以下の2つの勉強方法のうち,より効果がある(成績が伸びる)のはどちらだと思いますか?

正解は…Aです。同じ時間や回数勉強をする場合,まとめて勉強するよりも適度に間隔を空けて勉強した方が,記憶に残りやすいと言われています。これは分散学習,あるいは学習の分散効果と呼ばれ,単純な身体動作の習得から,単語の記憶のような学校での勉強に近い状況まで,幅広く効果が確認されています。

 この分散学習について,もう一つ面白いことが分かっています。それは,「学習者は分散学習が効果的であることにあまり気づいていない」ということです。それどころか,「集中学習の方が効果的だと思っている」というデータもあります(Zechmeister & Shaughnessy, 1980)。教育場面に限らず,自分の考えや思い込みが実態とズレている,ということは多々あります。このようなズレを発見し,その仕組みを解明することが,心理学の面白さなのではないかと思っています。

山根 嵩史

引用文献:Zechmeister, E. B., & Shaughnessy, J. J. (1980). When you know that you know and when you think that you know but you don’t. Bulletin of the Psychonomic Society, 15(1), 41-44.