教職員コラム お題「私の研究テーマ」 山根 嵩史

 テレビを見る,文章を読む,何かを考える,誰かと会話をするなど,我々は目を覚ましている時間のほとんどを,頭を働かせながら過ごしています。こうした頭の中の働きのことを,ざっくりと”認知活動”と呼びます。さらに,我々は,認知活動を(ある程度)自分自身でコントロールすることもできます。文章を読んでいて,知らない単語が出てきたら読むのを中断してスマホで検索をする,あるいは会話中に,言い間違いに気づいてすぐに訂正する,といった具合です。

 こういった,「認知活動のモニターとコントロール」を行う能力は”メタ認知”と呼ばれています。メタ認知は,ちょうど機体の状態をチェックしながら操縦を行うパイロットや,選手の状態を見ながら指示を出すスポーツの監督のような役割を担っています。メタ認知の研究には,文章を読んでいる時のメタ認知,運動中のメタ認知など,様々な領域がありますが,私が研究テーマとしているのは学習中の,特に何かを記憶する際のメタ認知の働きです。

 我々が何かを記憶する際には,覚える前,覚えている最中,覚えた後など様々なタイミングで,メタ認知による制御が行われています。これらのメタ認知の働きや相互の関係について,実験を通じて調べています。「勉強を自分でうまくコントロールする方法」について研究している,と言ってしまうと少し語弊があるかもしれませんが,将来的にはそのような方法についても,答えが出せると良いなと思っています。

山根 嵩史