学会出張や旅行であちこち巡り、行く先々で素敵な景色や美味しい食べ物、思いもよらない出会いもありました。でも、一番のお気に入りは、本学の目の前にある川崎医科大学附属病院の敷地にひろがる「ふるさとの森」です。
「ふるさとの森」は、川崎学園の創始者である川﨑祐宣先生が、故郷を離れて医学の道を志した学生の心の支えとなることを願って整備したもので、学生の出身県の県木や市木を中心に、1000本近くのさまざまな品種の木々が植樹されています。今では、学生だけでなく、患者さんやご家族が、散策しながら、途中のベンチや切り株に腰を下ろし、眼下にひろがる箱庭のような景色を、それぞれの思いを胸に秘めながら眺めています。

春になると、森全体が桜色に染まります。大学院生の頃、毎年のように、先生方や他の院生と一緒に、この森で夜桜を眺めながら語り合いました。5月である今は,福岡県の県木であるツツジが見頃となっていて,新緑もまぶしいです。秋の紅葉も見事で、最近ではゼミ生や院生を誘って、紅葉狩りも楽しんでいます。入院中の母の車椅子を押して、最後の散歩に出掛けたのも、この森でした。その時の風の心地よさを今でもはっきりと覚えています。
楽しかったことも悲しかったことも含め、過去の大切な経験に彩られた場所は、「私」そのものなのかもしれませんね。


