教職員コラム お題「私の地元を紹介します」 進藤貴子

 白い砂浜、青い空、青い海。沖縄ではありません。グアムでもありません。ハワイでもありません。ここは広島県呉市。(この写真は蒲刈島の砂浜です)


 映画「この世界の片隅で」を見ましたか。呉の風景はあの映画のとおり。呉の言葉もあのとおり。海から山へ駆け上がる狭い平地、広島市からの鉄道は海沿いの単線、東広島からも遠い陸路と、アクセスしにくい陸の孤島のような地形を生かして、軍港で鎮守府があり、島には海軍兵学校がありました。
 私の実家は瀬戸内海に流れ込む川の河口付近にあったため、満潮の日には磯の香りがして、溝にはサワガニが上がってきました。京都で暮らした時、「周りに海がない! 何かあったらどうするん!」と本気で思っていた私。そこに海さえあれば安心と思っていました。

 

 去年、久しぶりに音戸の瀬戸へ(平清盛伝説があるところです)。定年で関東から戻ってきたという地元の方も、遅い花見に来られていました。「ほうよー。ここらあ新しゅうなったけえねー。僕らあ、はあ、えっと来んのじゃけどがねー」。
 呉を離れてもう30余年。「貴ねえは岡山弁になっとるねー」と言われ、呉の言葉をうまく話せなくなりましたが、テレビや映画で呉の人が出てくると、耳がぴこぴこと反応します。
 呉の人はウエットで世話好き。ここ倉敷の人はモダンでドライ。表現型は違いますが、どちらもちゃんと相手を見て接してくれます。

 

 これを見て何フェリーかわかる人は広島暮らしが長い方。奥に見えるのは弥山(みせん)という神様の山で、これは宮島フェリーです。宮島の大鳥居の下で潮干狩りをしたのも懐かしい。

 

 広島の子どもは十数える時、「だるまさんがころんだ」でも「ぼんさんがへをこいた」でもなく、「みやじまのしかのつの」と言います。
 うーん、「はるばる呉まで遊びに来て」とは、言いにくいのですが、広島は楽しいところがえっとあるけん! コロナが落ち着いたら来てみてーや!

進藤貴子