教職員コラム 「私のイチオシ心理学キーワード:being」 武井 祐子

 ある領域の心理臨床をするようになって、私たち心理専門職の仕事は、doingではなく、beingであることが大切である、ということを実感するようになりました。

 目の前に、何か悩んでいる、傷ついている、困っている人がいると、心理専門職として、心理学的アセスメントをもとに言葉にする、心理学的な理解に基づいた何か心理的支援、働きかけをしたくなります。けれど、実は傷ついている、動揺している、混乱している人を目の前にして、ただそこにいること、その状況を一緒に体験すること、そして何も出来ないでいる自分と向き合いながら居続けると、クライエントの方、患者の方の新たな語りにつながり、その人の人生が動き出し、そして私は他の専門職と自然に協働していて、その場が動きだすということを体験します。

 そんなことに気づくと、かけだしの頃から定期的に入らせていただいていた保育の現場でも同じようなことが起こっていたことにも気づきました。人間って本当にすごいなあと感動します。そんなたくさんのことを教えてくれるこの仕事はやめられないと思っていますが、もっとそんな話を詳しく聞きたいと思う人は、ぜひ本学の大学院にきてください。

武井 祐子