教職員コラム 「私のイチオシ心理学キーワード:手続き的公正」 髙尾 堅司

 「私のイチオシ心理学キーワード」としてご紹介するのは,「手続き的公正」です。組織や集団内における決定事項の多くがそうであるように,何らかの決定を下すにあたっては,最終的な意思決定を下す立場(権威者)とその決定を下される側が存在します。もし,権威者が決定を下される側の見解や立場を無視して決定を下してしまったとすれば,少なからず不本意な思いを抱くのではないでしょうか。その手続きに対する公正さの評価は,規則の遵守や組織のポジティブな雰囲気を促進することなどが確認されてきました。

 私が大学院学生であった当時に出版された図書には,その詳細が記載されています。その書籍のタイトルに“Diverse Society”(多元社会)という言葉があるように,多様性を重んじる現代だからこそ,より一層,決定を受ける側が手続き的な公正さを認知できるような対応が求められるように思います。今なお,組織や集団において「紛争」は絶えません。当該書籍が発刊されたのは1997年ですが,それが示唆する内容は色あせることなく,種々の課題を現代社会に突きつけているように思います。

髙尾 堅司