カテゴリー: 教職員コラム:髙尾 堅司

教職員コラム 心理学って役に立つんじゃ ~ 協力行動を引き出す手がかり ~ 高尾 堅司

 私が学部生だった頃,非常に印象的な論文注)との出会いがありました。その論文は,水不足(渇水)に見舞われたある地域住民の節水行動を分析したものでした。いずれの分析結果も興味深いものでしたが,特に目を惹いたのは「渇水事態の深刻さの状況によって節水に協力する住民層が異なっていたこと」でした。

 たとえば,最初に節水を実行するのは,節水による労力をいとわない(利便性を度外視する)住民でした。その後,渇水事態が深刻化し,自主的な節水が勧告された状況において節水を実行するのは,節水による経済的効果を重視する住民でした。そして,いよいよ断水が実施される段階になったら,風呂や洗濯面で清潔さの水準を少し下げても良いと考える住民がようやく節水しようとするというのです。

 渇水事態の段階ごとに節水行動に着手する住民層が異なるということは,一律に節水に関する啓発メッセージを伝えるだけで十分とは言い難いことを示唆しています。そして,その背景には節水しようという動機に影響を及ぼす何らかの心理的要因が存在するはずです。節水行動に影響を及ぼす心理的要因を特定することで,限られた資源を有効に活用することができるかもしれません。

 人々が自分にとっての都合の良さを重視して行動するのではなく,全体にとって何が望ましいかを考えながら行動してもらうにはどうすれば良いか。これは,限られた資源の活用のみならず,社会的マナー一般に通ずる部分があります。身近なところから社会に至るまで,人々が気持ちよく過ごすための工夫を引き出すヒントが,心理学にはあります。

 

注)広瀬 幸雄・北田 隆 (1987). 渇水時における住民の節水行動の規定因 社会心理学研究,2(2),21-28.

 

高尾 堅司

教職員コラム 「私の好きな都道府県! 〜あなたも行ってみられぇ〜:沖縄県」 髙尾 堅司

 日本の歴史に強い関心を持っていた小学生の頃,子ども向けの日本史の本を繰り返し読んでいました。そんなある日,戦争に関する本を購入し,自宅で読むことにしました。その本には沖縄戦を戦った人々の様子が記載されており,子どもながらに戦争の恐ろしさを感じた記憶があります。

 その本には,もうひとつ記憶に残るものがありました。それは,戦禍で焼失する前の首里城の写真です。モノクロの写真でありながら,何かを訴えかけるような迫力を感じました。それ以来,沖縄県に関心を持ち続けていたところ,今からおよそ10年前に現地に赴く機会を得ました。この写真はその際に撮影したものです。実際にその場で見ないと分からない壮大さと美しさ,首里城内に漂う何とも言えない優しい空気感に,言葉では言い表せないほど癒されました。

 令和元年に火災に見舞われた首里城は復元に向けて関係各位が尽力しており,復元現場を見学することも可能です。もう一度沖縄県へ赴き,悲劇に何度も遭遇しながらもその都度不死鳥の如くよみがえる過程に立ち会うことができればと願ってやみません。

髙尾 堅司

教職員コラム 「私のイチオシ心理学キーワード:手続き的公正」 髙尾 堅司

 「私のイチオシ心理学キーワード」としてご紹介するのは,「手続き的公正」です。組織や集団内における決定事項の多くがそうであるように,何らかの決定を下すにあたっては,最終的な意思決定を下す立場(権威者)とその決定を下される側が存在します。もし,権威者が決定を下される側の見解や立場を無視して決定を下してしまったとすれば,少なからず不本意な思いを抱くのではないでしょうか。その手続きに対する公正さの評価は,規則の遵守や組織のポジティブな雰囲気を促進することなどが確認されてきました。

 私が大学院学生であった当時に出版された図書には,その詳細が記載されています。その書籍のタイトルに“Diverse Society”(多元社会)という言葉があるように,多様性を重んじる現代だからこそ,より一層,決定を受ける側が手続き的な公正さを認知できるような対応が求められるように思います。今なお,組織や集団において「紛争」は絶えません。当該書籍が発刊されたのは1997年ですが,それが示唆する内容は色あせることなく,種々の課題を現代社会に突きつけているように思います。

髙尾 堅司

教職員コラム お題「今,熱中していること ver.2022」 髙尾 堅司

 どういうわけか,幼少の頃から過去の記録を調べることに熱中していました。たとえば,小学生の頃,1930年代から1940年代の日本プロ野球の歴史を調べ始めると,つい時間を忘れて読書していました。現在は,日本野球機構のWebページで公開されている選手たちの記録を検索することが楽しみの一つとなっています。

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