教職員コラム お題「私の研究テーマ」 福岡 欣治

 もしも私のことを知っている人が、福岡の研究テーマについて“答えてくれる”としたら、その答えは「ソーシャルサポート」になるのだろうと思います。意訳すれば“身近な人の支え”といったところでしょうか。嫌なことや辛いことがあっても、それがあること(または、それがあると思えること)で、少し、元気になれたりします。

 下のスライドは、高校での進路ガイダンス(模擬授業)で私が「自己紹介」をするときに時々使っているのをちょっと加工したものです。一番下の水色の吹き出しで「(④)」と書いてあるのがそれにあたります(※スライド全体では、「いやなことがあった」ときの、その人の中での考えによっていっそう落ち込んでしまう場合があること、身近な人とのかかわりの中で自分の気持ちが良い方向に向かう場合があること、を表しています)。

 

 

 ただし、最近出版された心理学の辞典では、「ソーシャルサポート」について、“人と人との支え合いのこと。他者との間に支え合える関係を維持している者は、そうでない者よりも心身ともに健康であることが、多くの研究によって示されてきた”と記されています(#)。ここでは、「支え」ではなく「支え合い」「支え合える」と表現されていますね。支えてもらうだけではなく、自分でも相手を(あるいは誰かを)支えることができること(“互恵的関係”などと呼ばれます)の大切さが示されています。

 臨床心理学を学びたいと思う人は、“人を支える”ことに関心があることと思います。目新しいテーマではありませんが、奥深いものだなと思います。いかがでしょう?

(#)
浦 光弘 (2021). ソーシャルサポート 子安 増生・丹野 義彦・箱田 裕司(監修) 有斐閣現代心理学辞典 (p.476) 有斐閣

福岡 欣治