福岡 欣治

 今から30年余り前、卒業研究のテーマを決めるとき「ソーシャルサポート」という耳慣れない言葉を知りました。「対人関係が心身の健康に影響する」という視点は魅力的でした。一方で、人が人を支えることの美しさとそれを素直に受け入れられない自分とのギャップに戸惑いました。後にその概念が災害や事故や死別といった人生の大きな困難と関連すると同時に、それを知るだけでは誰の何の力にもなれないことを痛感しました。さしたる研究成果を挙げたわけでもなく、“旬の”テーマとも言い難いのですが、未だにそれは私の身近にあって、関係する様々な事象――例えば学校適応、ストレス、健康行動など――に対する自らの学びの基になっています。