教職員コラム お題「学生時代の思い出」 水子 学

 小4の夏休みの宿題で書いた読書感想文。担任の先生から「コンクールに応募してみない?」と声を掛けられ,放課後に一緒に手直しして応募した。このことがきっかけで,本を読むことと自分の気持ちを表現することが少し楽しくなった。

 小5からクラブ活動でトランペットを吹き始め,自分の思いを音にのせて表現すること,その思いを人に届けることに心地よさを感じた。中学,高校の6年間は,吹奏楽に夢中になった。仲間たちと一緒に,ひとつのステージを作った。自分を誇らしく思った。でも,勉強そっちのけだったため,大学受験は失敗の連続。小,中学校の先生になりたくて,教育学部を受験したが,全て不合格だった。最後の最後まで粘って勉強し,合格切符を手にした大学で,私は心理学を学ぶことになった。それから,30年余りの時が過ぎ,今,私は大学で心理学を教える先生になり,学生たちと学び合いながら過ごしている。
 計画的に物事を進めることも大事であるが,人生は,予期できない偶然の積み重ねによって成り立っている。「学びたいから学ぶ」のではなく,「そんなつもりはなかったのに,ふらふらっと学んでしまった」という偶然性が,豊かな人生につながっているように思う。