教職員コラム お題「私の地元を紹介します」 武井 祐子

 私の地元・・・。生まれたところ、育ったところ、そして今までの人生で一番長く過ごしたところ・・・。全部違うし、さてどこを紹介しようかと迷いつつ・・・。やっぱり、今の私につながる体験をたくさんさせてくれた場所にしようということで、紹介させていただきます。
 私の父のふるさとは、日本で最も自殺の少ない町です。両親ともに働く、共働き家庭に育ったからだろうと思いますが、私は中学校に入学するまで(自分で自分のことを完全に出来るようになるとともに、勉強が忙しくなるまで)は、長期の休みに入ると、休みの大半の期間を、その父のふるさとで過ごしていました。同年代(といっても私が一番の年長でしたが)のいとこ数人と来る日も来る日も、暗くなるまで外で遊びまわっていました。その地はとてものどかな田舎で、木登り、山登り、山のなかを探検することはもちろん、夏は毎日、家の前に流れる川で泳いでいました。今から思うと、なかなかなサバイバルな体験をしていたように思います。夏のちょっと特別な日(きっと大人が時間に余裕があるときだったのでしょう)は、少し離れた大きな川まで連れていってもらって泳ぐこともあれば、海に連れていってもらえることもありました。川は流れがあるから海と比べるととても水が冷たいことも実体験として知りましたし、川で泳ぐとかなり根性を出して頑張って泳がないとかなり下流に流されてしまうことも実体験しましたし、海はいきなり深くなることもあるから慎重に泳いでいかないと大変なことになるということも学びました。川底にある石は川上から流されてきたためにぜーんぶ、角がなくて丸くて・・・。きれいな貝や石をいとこ達と一生懸命探したものでした。


 自分が子育てをするようになった時には、我が子の友だちを水遊びに連れていくなんて、恐ろしくてできないと思いました。水の事故はとても怖いのです。流れのある川で子どもたちだけで毎日泳がせていたとは、昔はのどかだったのか、昔の子どもの運動能力が高くて信頼されていたのか、それともいざとなったら誰かが助け出す自信があったのか、いったいどういうことだったのだろうか。
 のどかな田舎での多くの体験が今の私のプラスにつながっているかは分からないのですが、実体験の学びってすごく大事な学びなんじゃないかと今では強く思っています。

武井 祐子