教職員コラム お題「私の地元を紹介します」 瀧川 真也

 大学進学を機に地元を離れてから人生の半分近くは地元以外の土地で生活している。実家に帰るたびに地元の変わりように驚かされるばかりで,もはや紹介できるほど地元情報を持ち合わせていない。もちろん,様変わりした地元は私の研究テーマの“なつかしさ”も感じさせてくれない。時代に取り残されたという現実とコラムのタイトルのハードルの高さに直面し,現在進行形で心が折れていっている。

 それでも私の地元は昔から変わらない個性をもちあわせている。例えば,地元には阪神タイガースの本拠地があるのだが,そこで市内の学校対抗の大運動会が開催されたり,年に一度,早朝の開門と同時にみんなが一斉にダッシュする神社があったり,牛女がいたりなどである。他にも,映画「火垂るの墓」で清太と節子になかなかのいじわるをする親戚のおばさんが住んでいたのも私の地元で,子どもの頃はそれがめちゃくちゃ嫌だった。

 そんな中で私が地元に帰ってきたと最も実感するのは写真の山を見たときである。この山は標高300メートルぐらいの小さな山で,子どもでもすぐに登れるような山である。特別なエピソードがあるわけではないが,一目見るだけでなぜか無性に安心して,地元に帰ると見たくなる。時間の経過とともにより住みやすく,よりよい社会になっていくが,良くも悪くもいつまでも変わらないものも必要なのかもしれない。

瀧川 真也