2016/12/22 犯罪被害についての特別講義

 臨床心理学総論IIという授業が、本学科にはあります。2年次開講の必修科目の一つです。

 2016年末、この授業の一環として、5年前に娘さんを犯罪によって亡くされた加藤裕司先生によるご講演がおこなわれました。受講生60数名に加え、1年生あるいは上級生、そして数名の教員も参加して、定員130人余りの講義室は、前列を除き数える程度の空き席のみとなりました。

 父親として娘のことを常に気遣い、計り知れない愛情を注いでこられた娘さんが、一人の男の手によって予想もしない凄惨な死を余儀なくされたこと、その前後そして裁判による死刑判決の確定を経て現在にいたる時間を、講師の加藤先生はいくつかのスライドとともにたどられました。誰一人余計な声や音を出すこともなく、マイクを通して部屋一杯に広がる、加藤先生の声と、混乱・悲嘆・怒り・苦悩・憎しみ・無念・感謝を含む強い思いに聴き入りました。 

 臨床心理学科で学ぶ学生として、人の心の痛みと重さを改めて知り、そして人生の中で愛する人のために何ができるのかという課題を、加藤先生のお話から、頂くことができたかもしれません。 

 この講演が実現するに際し、岡山県警の方からも、大きなご助力を頂戴しました。貴重な時間を割いてくださった加藤先生そして関係の皆さまに、改めて、そして謹んで、感謝の気持ちを表したいと思います。