カテゴリー: 教職員コラム:瀧川 真也

教職員コラム 心理学って役に立つんじゃ 〜 思い出の役割 〜 瀧川 真也

私たちの思い出や経験は,過去がそのまま頭の中に記録されているのではなく,今の自分や将来の自分のための働きがあります。たとえば,苦手だった計算を何度も練習してできるようになった経験は,「自分には粘り強さがある」という現在の“自分らしさ”を確かめる手がかりになります(自己機能)。

 また,家族との会話で「昔,家族みんなでよく公園に行ったよね」と話すと,そこから話が広がり,家族とのつながりを自然に感じられることがあります。このように思い出を共有することで,お互いに話がしやすくなったり,リラックスして話せる雰囲気が生まれたりします(社会機能)。
さらに,過去の経験は次の行動を選ぶ判断にもつながります。テスト前に勉強計画を立てずに失敗した記憶があれば,「今回は早めに準備しよう」という行動の変化が生まれます(指示機能)。

 一方で,思い出は時間が経つ中で感じ方が変わることがあります。たとえば,部活でミスをして落ち込んだ経験でも,あとで振り返ると「あの悔しさがあったから続けてこられた」と前向きに受け止められるようになることがあります。こうした変化は記憶の「再構成」と呼ばれ,その体験の意味を自分の中で少しずつ捉え直すことで起こります。「再構成」は誰にでも起こるごく自然なことで,当時はつらかった体験でも,時間が経過するにつれ別の見方ができるようになり,成長のきっかけになることがあります。

 心理学では,過去をただ“過ぎ去ったもの”と捉えるのではなく,今の自分を形づける大切な経験として考えています。みなさんがこれから向き合う出来事も,いつかきっと自分の力になるはずです。

瀧川 真也

教職員コラム 「私の好きな都道府県! 〜あなたも行ってみられぇ〜:兵庫県西宮」 瀧川 真也

 私の生まれは兵庫県の西宮市なのですが,みなさんは西宮についてなにか知っていることはありますか?甲子園球場があるのは西宮なのですが,もうひとつ有名なものといえば西宮神社です。

 西宮神社はえびす神社の総本社で,毎年1月10日に開門と同時に本殿まで大勢の人が猛ダッシュして福男を決める,あの神社が西宮にあります。この福男選びは,毎年1月9日から11日までの3日間ある十日えびす(商売繁盛で有名なえびす様を祀るお祭り)のなかで行われるのですが,同じ期間中,関西以外ではあまり知られていない大マグロの奉納が行われます。ただ神社にマグロが奉納されるのではなく,参拝者が「お金が身につく」と縁起をかついで,マグロにお賽銭を張りつけるという一風変わった習わしがあります。お祭りの最終日近くになるとお賽銭に埋め尽くされたマグロという,他にはなかなかない光景を見ることができます。私も関西をでるまでは,福男もマグロの奉納も当たり前に思っていましたが,なかなかファンキーなことをしていますよね。

 十日えびすは1月11日までです。今(1月10日現在)ならまだマグロにお賽銭を張りつけられますので,ファンキーな街,兵庫県西宮にお越しください。

瀧川 真也

教職員コラム 「私のイチオシ心理学キーワード:自伝的編集」 瀧川 真也

 みなさんは,自分の体験を盛って誰かに話したことはありますか?
 ある研究によると,人は他者に話した自分の体験のうち約6割に何らかの修正をしていることが明らかになっています(Marsh & Tversky, 2004)。
 
 私たちは,普段の会話の中で,相手や状況によって話す内容を修正していて,場を盛り上げるために大げさに話したり,怒られないように都合の悪い部分を隠して話したりすることがよくあります。このように,自身の体験を自分にとって肯定的に修正して相手に伝えることを「自伝的編集(autobiographical editing)」といいます。
 
 実は,この「自伝的編集」はかなり新しい心理学キーワードで,私も著者のひとりで2022年に出版された『記憶現象の心理学(北大路書房)』のなかで,初めて日本語として翻訳されたのではないかと思います。身近に体験していても,実際にはよくわかっていない事象はたくさんありますが,この「自伝的編集」も私たちがどのような目的で行っているのかははっきりとわかっておらず,発展途上のキーワードといえます。
 まさに今,研究が進められているキーワードがどのように成長するか見届けられるのも,研究のおもしろさかもしれません。

瀧川 真也

教職員コラム お題「今,熱中していること ver.2022」 瀧川 真也

 今から3年ほど前,勤続10年を過ぎた私はリフレッシュ休暇(永年勤続休暇)をもらえることになった。前々からリフレッシュ休暇は,飛行機が苦手な妻をおいて,ひとりで海外に行きたいと思っており,妻にもお許しをいただいていた。行き先はキューバで,ホテルや入国に必要な手続きなどを調べていた矢先,新型コロナウイルスが流行し,私の旅の計画は一瞬で吹き飛んだ。ここ数年で一番凹んだ。

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教職員コラム お題「私の研究テーマ」  瀧川 真也

 普段,生活していると,いつも当たり前のように感じていることに対して,ふと疑問を抱くことがあるかもしれない。しゃっくりって何のためにあるのか,乳歯が抜けたら屋根の上に投げたり,土に埋めたりするのはなぜか,アボカドのおしゃれ感にのまれて雰囲気で食べているけどよくよく考えるとおいしいのか,など。日常生活で何気なくやり過ごしていることでも,少し気に留めて,いつもと違う見方をしてみると新たな発見が得られることがある。

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