教職員コラム お題「私の研究テーマ」  瀧川 真也

 普段,生活していると,いつも当たり前のように感じていることに対して,ふと疑問を抱くことがあるかもしれない。しゃっくりって何のためにあるのか,乳歯が抜けたら屋根の上に投げたり,土に埋めたりするのはなぜか,アボカドのおしゃれ感にのまれて雰囲気で食べているけどよくよく考えるとおいしいのか,など。日常生活で何気なくやり過ごしていることでも,少し気に留めて,いつもと違う見方をしてみると新たな発見が得られることがある。

 私の研究テーマの1つは「なつかしさ」で,まさに日常にある当たり前である。特に日本人にとって「なつかしさ」はなじみのある感情で,疑問をもつことも少ないだろう。でも,いざ研究をしてみると,いろいろな発見がある。たとえば,なつかしさはほかの感情とは異なり,ポジティブな感情とネガティブな感情の混ざり合った複雑な感情であること。なつかしさを感じると,ポジティブな気分になったり,精神的な健康が高まったりすること。なつかしさは過去の記憶を思い出すことを促進させること。さらには,なつかしい記憶を他者と共有することで関係性が深めることができることなど,これまでの国内外のなつかしさ(ノスタルジア)研究で多くのことがわかってきている。この中には,そんなこと自分の経験上もうわかっているし,当たり前のことをわざわざ研究する必要はないと思うこともあるかもしれない。

 当たり前とはなんだろうか。それは誰にとっての当たり前なのだろうか。そして,その当たり前は客観的,科学的にもそういえるのだろうか。もし,誰にとっても当たり前なことであっても,科学的に捉え直すことには意味があることであろうし,もしかするとみなさんが普通だと思っていることが実は,まだ見ぬ新たな発見かもしれない。ぜひ,自分の見えているものに疑問を持って,当たり前について考えてみてほしい。

瀧川 真也