教職員コラム 「心理学って役に立つんじゃ!~不機嫌な人の見え方が変わる~」 荒井 佐和子

「あの人、不機嫌そう…」「私、何か悪いことしたかな?」
そんなふうに感じて、不安になったことはありませんか?
人は誰かの表情や態度を見たとき、その理由を「その人の性格」や「自分との関係」に結びつけて考えがちです。でも実際には、その人の置かれた状況や心の中の事情が影響していることも多くあります。

たとえば、大学の授業で、不機嫌そうな顔で途中入室した学生がいました。教室の空気が少しピリッとしましたが、後で話を聞くと「遅刻してしまって、申し訳なくて顔を上げられなかった」とのこと。ばつの悪さが表情に出ていただけでした。

また、教育相談で怒ったような口調の保護者の方がいました。「私に不満があるのかな…」と思いましたが、話すうちに、子育ての疲れや、誰にも頼れないという孤独感があることが見えてきました。強い口調の奥には、「ひとりで抱えきれない」という思いが隠れていたように思います。

心理学は、人の行動や表情の「背景」に目を向ける力を育ててくれます。
不機嫌そうな人に出会ったとき、「何かしたかな?」と考える前に、「何かあったのかな?」と少しだけ想像してみる。その一歩が、心の距離を縮めてくれるように思います。

興味を持った方は、社会心理学で扱う「人の行動の理由のとらえ方(帰属)」や、認知行動療法で学ぶ「考え方のクセ(認知のゆがみ)」について、本学科でぜひ学んでみてください。

 

荒井 佐和子