教職員コラム お題「今,熱中していること ver.2023」 中村 有里

 今,というよりもかれこれ5年ほど熱中(楽しんでいる)のが持ち歩き用のお茶です。

 私の弟が転勤で台湾に住むことになり,私は家族と一緒に弟の住む台北に遊びに行ったことがありました。観光案内をしてくれた台湾人のおじさんがどこに行くにも手に水筒を持ち歩いており,たまにコンビニに立ち寄ってはその水筒にお湯を注いでいるのを私は見逃しませんでした。お世辞にも綺麗とは言えないその水筒は茶色というよりも黒くなった茶渋がこびついており,液体が入っているのがわかる程度の透明感でした。その水筒を「洗ったことがない」と聞き,ぎょっとしながらもその理由に妙に納得した記憶があります(肝心なその理由は忘れてしまいました)。おじさんの水筒の中身はプーアル茶だそうで,台湾人はプーアル茶を飲んでいるからみんなスリムなのだと話していました。「落としてもぶつけても割れないよ」と言い,おじさんはバスのいろんなところに水筒をぶつけて実演してくれました。その直後に案内されたのが台湾茶のお店。観光地ではありがちなルートです。おじさんの水筒とその中身のプーアル茶以外,台湾茶の予備知識がない私は数えきれないほどのお茶の木箱の前で立ち尽くしていました。すると,「これ飲んだらエスケーツー(SKⅡ)要らない!」ときっと練習したのであろう日本語で店員さんから勧められたのが東方美人茶というお茶です。おじさんお勧めのプーアル茶とSKⅡが要らない東方美人茶の組み合わせは最強だと言われ,「じゃぁ,それで」と決めたものの,レジで「もうこの旅でお金を使えない」と後悔するほど高価な買い物になってしまいました。値段が表示されていないものは大抵高価なものなのだとその時に学びました。その後,おじさんが持っていたのとよく似た茶こし付きの水筒を免税店で見つけ,台湾から帰って来て以降,私は台湾茶を楽しむ生活が続いています。このエピソードを話してからか弟が帰国する度に珍しい台湾茶を買ってきてくれ,少しずつ私の台湾茶の知識が増えています。おじさんから教えてもらったプーアル茶は日本でもスーパーなどで簡単に手に入ることがわかり,今では我が家の常備茶となっています。写真は自宅のお茶のストックと私が毎日使っている水筒です。お茶の中身はもちろん最強のプーアル茶と東方美人茶のブレンドです。妙に納得したはずの水筒を洗わない理由を忘れてしまい,私は毎日洗った水筒を使ってお茶を持ち歩いて楽しんでいます。

中村 有里