教職員コラム お題「私の研究テーマ」 林 明弘

 今まで主に古代・中世の西洋哲学をやってきましたが、最近は、心理学や動物学をかじった結果、自分が『哲学病』に罹患していたと気づき、治療しなければ、と思っています。

 ハインロートという動物学者に言わせると、哲学者のやってきたことは「人間の認識能力についての病的な知的徒労」だそうです。いいこと言うなあ!

 F=maという式を見てください。三つのうちのどれを取り上げても、残る二つが何であるかが分からなければ、分からないのです。mとは何かが分かって、そしてaとは何かが分かって、それから、その二つを使ってFを理解することはできません。Fとは何かが分からなければmとaも分からないのですから。数学のように、既知のものを使って、未知のものを理解する、というわけにはいかず、なんとなく「あ!そうか」と分かる。この理解を「いい加減だ」とみなすのが哲学病です。

林 明弘