教職員コラム お題「私の研究テーマ」  本城瑞恵

 

 

 私は学生の頃から教育臨床に関心が強く、卒業後は義務教育段階の児童・生徒またそのご家族の方々と関わる仕事に従事しておりました。その関りの中で、学校に関連する様々な思いを聴く機会がありました。楽しい気持ちや嬉しい出来事はもちろんですが、「学校がつまらない」「なぜかうまくやれない」という辛く悲しい気持ちや「自分は他の人と何か違う」といった葛藤する気持ちを聞かせていただくこともありました。中には不登校という状態を引き起こし、ご本人やご家族がますますご葛藤を抱えられることもありました。

不登校の背景には様々な要因が関連しており、休みだすきっかけがあることもあれば、ないこともあります。怠けているのではなく、今の自分では解決できない問題に対して、学校自体を回避することで対処しているとも考えられます。時には回避する対処も大切ですし、それ自体を否定するつもりはありません。しかし、学校に行けない状態が続くと、いつの間にか“学校に行けないこと”が悩みになってしまい、本来問題となっていたことがわからなくなる場合があります。不登校からの回復は、「再登校できるようになって、よかったね」「もう学校行かない/学校行かなくていい、と割り切ったから解決だね」といった単純な事象ではないでのです。

 私は、そのような児童・生徒やご家族の方々の思いを知ったり、本当に必要とされている支援の在り方について考えていきたいと思っています。また、支援を受けた方々がその後どんな人生を歩まれていくのかについても、知りたいと思っています。(改めて文字に起こすととても差し出がましく、身の縮む思いに駆られますが)これが、現在の「私の研究テーマ」です。

本城瑞恵