教職員コラム 地震速報から故郷を想う (お題「私の地元を紹介します」) 保野 孝弘

 「地震速報です」
ラジオ放送番組で、次のコーナーのスタンバイしていた私の耳に飛び込んできた。2020年9月4日。
「震源地は、●●県●●市、深度は5弱。津波の心配はありません。」
 アナウンサーの方が、「保野先生の出身地ですよね」その通り。お話しする内容が、一瞬消えた。


 ここでクイズ!
いくつかのヒントから、私の故郷を当ててください。観光名所は、永平寺、越前海岸、三方五湖など。カニに甘えび、眼鏡枠、竹人形。杉田玄白、五木ひろし、高見 順など。人口81万6千人(2019年;少ない方から4番目)。そして、私の生まれた町は、北前船の歴史の香漂うレトロな空間。
 今、この言葉を打ち込みながら、思い出した。
 作家 高見 順先生の文学碑。岩場が続く海岸沿いの荒磯遊歩道。高校時代に、現代国語の課題で友人K君と文学碑を訪ねる。何をしに行ったのか覚えがない。そして、カニと甘えび。冬に解禁、いつも食卓にカニと甘えび。最高だ!だが、いつもカニの足が1、2本とれている。この謎、やっとわかった。足のそろったカニは、料亭へ、その他はご家庭へ。最後に、少ない人口。大学院時代の恩師の一言がよみがえる。タクシーの窓から街並みを見て、「保野くんなぁ、人誰も歩いてへんやないかぁ。」確かに、誰も歩いていない。
 こんな、ゆったりとした田舎、風光明媚な土地、カニや甘えびなど豊富な海の幸。

 
 私の故郷は、福井県坂井市三国町。

保野 孝弘