教職員コラム お題「学生時代の思い出」 荒井 佐和子

 学校の先生は思い出語りが好きだなぁと学生時代いつも思っていました。そんな私が教員になって気づいたこと,それは,教員が思い出を切り売りする職業でもあるということです。


 思い返せば,私の敬愛する先生はおしなべて,授業で扱うテーマに関して,自分自身の経験などエピソードを盛り込むことで,面白さや本当らしさ,分かりやすさを高めてくれました。好き好んで自分語りをするのではなく,学生の理解の助けになるように自身を教材としてくれていたわけです(ナルシストみたいに思っていてごめんなさい)。
 思い出というのは個人の宝物のように思われがちですが,上記のように思い出にはイメージを分かりやすく伝達・共有する社会的な機能もあるわけです。そんな気づきを得てから,講義の準備の中に,思い出を探すという変な作業が生まれました。記憶力の弱い私には結構大変で,思い出を沢山覚えている人がうらやましい今日この頃です。

荒井 佐和子