教職員コラム お題「私の宝物」進藤貴子

 宝物、というより必需品ですが、リンゴマークのこのPC、どこでも見かける普及版の一つではありませんか。これがなくては私の仕事が始まらず終わりません。

 つまりは毎日使う道具であり、性能と記憶容量ならびに持ち運びやすさが問題になるわけですが、このシンプルなフェースが「カスタムしてね」と言っているようで、面白いシールを貼ってみました。すると不思議、「私の愛機です」という感じが沸いてきたではありませんか。周囲の人にも「あれは進藤さんの大事なPC」と見てわかっていただけて一石二鳥です。もちろん、子どもじみた人だなと思われるおそれもあります。子どもじみているのでその通りではあります。こんなことにまったく構わず、おかしなシールを貼ったりもせず、道具をシンプルに道具として使いこなす方は、カッコイイ大人だなあと思います。

 物は不思議です。親子関係における「愛着」にも似て、特別なものではなく、普及版が段々自分だけのものになっていく感じが何ともいえないものです。星の王子さまに出てくるキツネが似たようなことを言っていました。

 ところでこれは何かおわかりでしょうか。

 冬に使うネックウォーマーで私物です。下の白いのが新品、上が数年使ったものです。違いがおわかりですか。もとの物(上)が気に入り、下のは数年後に同じメーカーで同様の品をもう1本入手したものです。これを2つ並べ、「見て、こんなになるの! こっち(下)が新品!」と夫に見せたところ、ギョッとして(いわゆる「引きまくって」)いました。白いものが私の首に何年も巻かれているうちこんなにうす汚れたのかと思ったそうです。失礼ですねー。色ではなくて大きさ、太さを見てほしかったのです。こんなにもやせ細るまで愛用してきたのだということを。1つ目はグレーのものを、2つ目に白っぽい色違いを私は購入したのです。まあこれらも宝物というか、愛用の品です。

 しかし夫があんなに驚く顔を久しぶりに見ました。面白かったです。

進藤貴子