2018/2/1 犯罪被害についての特別講義をおこないました

 人生の中で、犯罪や事件、事故に1度もかかわらずに済めば幸せかもしれません。しかし、犯罪被害者等基本法(2005年施行)の前文にもあるように、私たちの誰もが犯罪被害に巻き込まれる可能性があるのです。

 もしかすると、私たちの関係者が、罪を犯す側に回ってしまうこともあるかもしれません。それを抑止するためにも、また、被害に会ったときに支えあうためにも、国民のひとりとして、また、心理支援業務を担う者としてはさらに、犯罪被害について学び、考えることが不可欠であるといえます。

 21日、2年生の必修科目「臨床心理学総論Ⅱ」では、今年も岡山県警察の提携により、犯罪被害の経験をされた当事者様から、その時の心境、周囲の人の言動に対して感じられたこと、必要な支援のあり方などについて、お話を聞かせていただきました。

 講師の大山優子先生は、県外で夢に向かって頑張っていたお嬢様を、金銭トラブルを解決してやると乗り込んできた犯人に殺害されました。幼い日から大事に育み、離れていても連絡を取り合う中での、突然の事件でした。講義の中では報道取材や裁判への被害者参加のご経験についても教えていただき、これまで知ることのなかった犯罪被害の実態をお聞きしました。事件から2年以上が経ち、先ごろ夢の中に在りし日の娘が帰ってきたと言われ、「娘に会いたい、娘の成長を見たい、娘の声を聞きたい」というお母様のお気持ちが、ちょうど同じ年頃の受講生の耳に痛切に響きました。

 お聞きするだけでも胸がしめつけられる内容でしたが、辛いお話もお気持ちをこめて最後まで語り聞かせてくださったことに、深い感謝をおぼえます。出席カードには感謝の言葉がたくさんあったとともに、(これまで何も知らずに)「すみません」という気持ちもこぼれました。心のない支援はいけない、人として誠実に生きることが支援者には求められる、とおっしゃった言葉を、今後につなげたいと思いました。