教職員コラム お題「私の宝物」山根 嵩史

 何らかのテーマに沿った文章を書こうとするとき,言葉の定義から始めようとするのは心理学者の悪い癖ですが,「宝物」という言葉は非常に曖昧で多義的です。

 これまでの先生方のコラムでも,プレゼントや思い出の品,故郷や人間関係,言葉,考え方といった,様々な素敵な「宝物」が登場しました。そんな「宝物」コラムを締めくくるにあたって,まだ出ていない「宝物」のパターンを考えるのは非常に難しかったのですが(※注:特に新しいパターンを出さなければならないという決まりはありません),一つ思いついたものを紹介したいと思います。

 The Beatlesは,おそらく彼らの曲を聞いたことがないという人はいないであろう,伝説的なロックバンドです。私がThe Beatlesの音楽を聞くようになったのは,中学生の頃,親のCDを借りたのがきっかけだったように思います。私は特に,彼らに憧れて楽器を始めたり,熱心にグッズを集めたりといったことはしない“にわか”ファンでしたが,それでも人生の節目節目で,彼らの音楽や詩や思想に影響されてきたように思います。これといった特別なエピソードはなくとも,常に意識の片隅にあり,指針となってくれる存在。これも一つの「宝物」と呼べるのではないでしょうか。

 年の瀬も近づいて参りました。2019年という年が,皆様にとっての「宝物」となりますように。良いお年をお迎えください。

山根 嵩史