教職員コラム お題「今,熱中していること」稲田正文

 「熱中」という文字は、最近の私には「熱中症」くらいしか縁がなく、このテーマには困りました。それでも、最近比較的時間をかけていることといえば、これまで撮りためた写真の整理でしょうか。

 去年の夏、保管しているネガ・フィルムを算えてみたところ、ざっと800本ありました。デジタル・ファイルはハード・ディスクに収まってくれるのに対し、経年変化に抗えないプリントとネガは場所を占有するばかりで厄介を呈していました。これらのデジタル化を模索していたのですが、業者に頼むと結構な金額になります。さりとて自分でスキャンするのは途方もない手間が必要なのはわかっていました。たまたま、作業をベトナムでおこなう業者を見つけ発注したところ、半年を経てようやく第一陣が戻ってきました。

 昭和39年(1964)、高校1年生の夏、友人2人と私は小学校時代の先生の運転する軽四で、今から思えば杜撰な計画の旅に出ました。先の写真は、鳥取県の大山でキャンプを張り、岡山経由で姫路へ戻る車中でシャッターを切ったものと思われます。

 後に知ったことですが、江戸時代から「榎木の一里塚」と呼ばれていたらしく、国道2号線、備前大橋のほんの少し岡山寄りの吉井川右岸にこの木は立っていました。以来、国道2号線を往来するときの私にとって岡山といえばこの風景だったのですが、今はもう切り株しか残っていないようです。

                                   稲田正文