教職員コラム お題「私が学生時代に大切にしたこと」進藤貴子

 何々設立何周年記念講演会、何々の日記念講演会など、何かの折には講演会が催されます。公開講座も人気です。集まって人の話を聞くことが好きなのが、人というものなのでしょうか。 方や、学校の授業はどうでしょうか。仕方なく出席している人も多いように見受けられます。能動的に受講している学生の中にも、講義内容そのものへの関心をもっている人と、「良い点数を取る」ために受講している人があり、聴講の目的や感じ方はかなり異なるように感じます。

 学生時代、私は少し変わった出席行動をとっていました。現代の学生の皆さんには決してマネをして欲しくありませんが…。その1)同一の科目は2週間か3週間に一度出席する、その2)出席して居眠りをしてしまったら退室する。

 その1) 昔は今のようにセメスター制ではなく、通年30週で1科目の授業がされていました。自ずとその先生の考え方や重要事項が繰り返し語られます。それだけ内容も深まるのではありますが、続けて出席していると「またか」「また例の話か」と感じ、徐々に新鮮味が薄らぐことがありました。そこで中抜きで出席していました。女性誌も毎号買うと飽きてくるのと一緒だな、と、自分では理屈をつけていました。間を空けては出席し、退屈そうなほかの受講生を横目に、「新鮮に授業を聞けるわー」と得した気分になっていました。(本当は損をしているのですけど)

 その2) 居眠りをして途切れ途切れに聞いた授業はほとんど頭に残らない。教室の固い椅子で寝るぐらいなら下宿に帰って寝たほうが疲れが取れる。ということで、潔く(もちろん、小さくなって)教室を出ていました。外の空気を吸い、「私は人生の時間を無駄にしなかったわー」と得した気分になっていました。(本当は損をしているのですけど)

 このせいで初年次の成績はぼろぼろ、でも惰性で授業に出ることをあまりしなかったので、講義や講演=面白いもの、自分で選んで聞いているもの、という印象を持ち続けることができたように思います。また、卒業間際まで後ろ倒しでたくさんの科目を履修することとなり、大学院入試に役立ったので、何が吉となるかわかりません…。

 繰り返しになりますが、今の学生の皆さんが同じことをすると、高い確率で卒業延期の憂き目を見ることになりますので、マネをしてほしくありません。惰性でも授業に出席してくださるほうが、知識との思わぬ出会いもあるのでしょう。もちろん、講義をする側としては、皆さんが欠かさず出席したくなる内容を提供するよう努力したいと思います。

進藤貴子