教職員コラム お題「私が学生時代に大切にしたこと」髙尾堅司

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 私が、学生時代から大切にしていることは、「清掃」です。 単に忘れているだけかもしれませんが、小学生の頃から、学校での清掃活動を面倒に感じた記憶がありません。清掃班員の多くが清掃らしいことをしていない中でも、黙々と清掃していました。しばしば呆れた眼差しを向けられたものでしたが、意に介しませんでした。

 なぜ、清掃を厭わないのか。思い当たる節はいくつかありますが、その最たるものは高校生時代の経験です。高校生時代、私の所属するクラスの教室内は、ごみが散乱していました。この状況下において、一般的には担任が学生を叱責して済ませるでしょう。しかし、私が現在も尊敬する担任の先生は、休み時間中に自らほうきを手に取り、黙々と掃除していました。私は、その担任の姿勢に感銘を受け、部活の朝練前に校内のごみを拾うようになりました。

 高校を卒業してからも、空いた時間に清掃に取り組んできました。大学生の頃、テニスサークルに所属していたのですが、同じサークルの友人と二人でテニスコートの草むしりをしたことがありました。大学院時代には、バイト先の図書館内に放置されたごみを収集していました。併せて、一種の環境整備として、図書の請求記号が一致しない箇所に配架された図書を、正規の位置に配架しなおしていました。大学院卒業後、ある研究所を経て本学に赴任した当時は、学科実習室を黙々と掃除していました。

 あえて言及するまでもなく、清掃すればするほど当該環境が視覚的に美しくなります。私は、単にその達成感を味わいたいがため、清掃に関わっていることは否定できません。ところが、それ以外の価値も見出すことができました。テニスコートの草むしりをした方とは、かれこれ20年以上も仲良くさせてもらっています。バイト先の図書館職員の方々には、私が就職に伴いバイトを辞める際に盛大な送別会を実施して下さりました。その送別会は、いまだに忘れることができません(みなさん、お元気でしょうか?)。また、本学赴任当時、学科実習室を掃除していたら、ある男子学生が毎日のように手伝ってくれるようになりました。その男子学生は今や社会で大活躍しており、現在も交流させてもらっています。

 以上のように、清掃に関わることで新たな価値を見出すことができました。そのため、私は「ごみをポイ捨てる側ではなく、ごみを拾う側になろう」と心に決めています。

髙尾堅司