教職員コラム お題「今,熱中していること」林明弘

 「他のことはみんな忘れて夢中になって」という意味が「熱中」という意味に含まれると、すれば「今、熱中していること」はありません。でも、「最近興味を持ってきていること」なら、あります。

 退職された鴨野先生から頂いた本を(50冊くらいかな、動物学と心理学の本、それから脳についての本とか)片っ端から(というと大げさですが)読んでいくうちに、だんだん面白くなってきて、自分がこれまで「哲学病」に罹っていたことが分かりました。そしてプラトンやカントやデカルトに対する見方も変わってきました。

  1. 論理と直観が認識の両輪で、アナロジー(類推)やパターン認識はそのための補助的、派生的役割をするだけ、という考えが誤りで、実は、人間の認識のほとんどが後者で、しかもそれが重要な役割を果たしているのであって、前者は、それを学的に説明しようとした人間のフィクションではないか、それと関連して
  2. 明晰性と確実性の(両立の難しい)二つが認識の価値をなすもの、というのは誤りで、それらは今言った「学的に説明しようとすれば」この二つが要求されるにすぎず、つまり、つまり認識の価値というよりも、説明の説得力を保証しているだけではないか、と思うようになって気ました。もっとも、説明と認識は切り離せませんが・・・
  3. いずれにせよ、認識の多くは、あいまいで、漠然といていて、それが低い認識とみるのは、あるいはいい加減な認識と否定するのは、「哲学病」ではないか、ということです。

 

 以上の、小生のつたない変化の詳細は、長くなるのでやめますが、少しずつ、授業の中に、取り入れていこうと考えています。

林 明弘