遺伝カウンセリングとは、本人もしくは家族の遺伝学的問題に関する相談に訪れた人(クライエントといいます)に対して、遺伝学的情報およびその関連情報を提供し、自律的な意思決定を支援する医療行為といえます。
公式には、米国人類遺伝学会の定義(1975年)が、広く支持されてきています。2006年、米国遺伝カウンセラー学会(National Society of Genetic Counselors)により、時代に即した新しい遺伝カウンセリングの定義が公表されました。
「遺伝カウンセリングの定義」
遺伝カウンセリングとは、遺伝病の当事者や関係者が、遺伝病の持つ医学的、心理的、家族的影響を理解し、それに適応できるように援助するプロセスである。
このプロセスは、以下を統合したものである
この定義には簡潔に要点が示されていますが、もう少し具体的に遺伝カウンセリングの流れをみてみましょう。
遺伝カウンセリングは大きく分けると三つのアプローチから構成されます。
遺伝カウンセラーは、初対面のクライエントが遺伝カウンセリングを通して、問題解決について自己決定できるようパートナーシップを築くことが重要です。そのためには、クライエントの関心事(悩みや心配、想い)を受け入れ、理解するよう努める態度が必要です。
このように、遺伝カウンセリングを行うには、遺伝医学の知識だけではなく、医療面接、生命倫理学、臨床心理学などの深い知識と技術・態度が必要であることが理解されると思います。