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遺伝カウンセリングとは

遺伝カウンセリングとは、本人もしくは家族の遺伝学的問題に関する相談に訪れた人(クライエントといいます)に対して、遺伝学的情報およびその関連情報を提供し、自律的な意思決定を支援する医療行為といえます。

公式には、米国人類遺伝学会の定義(1975年)が、広く支持されてきています。2006年、米国遺伝カウンセラー学会(National Society of Genetic Counselors)により、時代に即した新しい遺伝カウンセリングの定義が公表されました。

「遺伝カウンセリングの定義」

遺伝カウンセリングとは、遺伝病の当事者や関係者が、遺伝病の持つ医学的、心理的、家族的影響を理解し、それに適応できるように援助するプロセスである。

このプロセスは、以下を統合したものである

  • 疾患の発生もしくは再発の可能性を評価するための家族歴および病歴の解釈
  • 遺伝、検査、マネジメント、予防、資源、および研究についての教育
  • リスクもしくは状況に対するインフォームド チョイスと適応を促進するためのカウンセリング

この定義には簡潔に要点が示されていますが、もう少し具体的に遺伝カウンセリングの流れをみてみましょう。

遺伝カウンセリングは大きく分けると三つのアプローチから構成されます。

1)受容的態度・共感的理解によるクライエントとの良好な関係の構築

遺伝カウンセラーは、初対面のクライエントが遺伝カウンセリングを通して、問題解決について自己決定できるようパートナーシップを築くことが重要です。そのためには、クライエントの関心事(悩みや心配、想い)を受け入れ、理解するよう努める態度が必要です。

2)クライエントの抱える問題の評価

  • クライエントの問題解決に必要な情報収集(病歴、家族歴など)
  • 遺伝学的解析(家系図の作成、遺伝様式・再発率の推定、遺伝学的検査)
  • 心理社会的アセスメント
  • 該当する疾患について最新の遺伝医学情報・社会資源情報の収集

3)クライエントの抱える問題のマネジメント

  • クライエントの理解を確認しながら分かりやすい説明
  • 問題解決に向けた自律的意思決定の支援
  • 心理社会的アセスメントに基づく支援
  • 必要に応じた継続支援

このように、遺伝カウンセリングを行うには、遺伝医学の知識だけではなく、医療面接、生命倫理学、臨床心理学などの深い知識と技術・態度が必要であることが理解されると思います。