診療放射線技師の主な仕事内容
一般X線撮影
一般X線撮影は,放射線の一つのX線を使って体を透かして見えるようにする検査です.骨などの硬いものは白く,肺などの空気は黒く見えます.
最も馴染みのある検査だと思います.診療放射線技師は被ばくを考えながら質の良い画像を提供すべく,撮影条件を設定したり,解剖学の知識を活かして角度調整を行ったり,“高度な技術”が求められる検査で,一瞬の時間の中に,多くの知識・経験が活かされる検査です.
消化管造影検査
消化管造影検査は,胃などの壁にX線を吸収するバリウム(造影剤とよばれるもの)をつけて、画像の濃淡をはっきりさせ,消化管をくわしく見る検査です.患者さんの協力がとても必要な検査です.
診療放射線技師は透視観察や取得した画像のチェックをしながら撮影し,胃がん等の診断に結びつく異常を発見する役割を担っており,その異常を医師に明確に伝える画像を提供することが大きな役割となっています.
骨密度検査
骨密度検査は,骨粗しょう症の予防・状態把握のため,骨の量を検査します.
骨の量を把握できるため,骨粗しょう症を発症した後も,進展具合や治療効果を診療放射線技師が検査することによって,判定することができます.
乳房撮影
乳房撮影(マンモグラフィ)は,X線を使って乳房を透かして見えるようにする検査です.現在では,女性の診療放射線技師がおこなうことが多いので,女性の求人が増えています.
乳がんは女性のがん罹患数「第1位」です.そのため,多くの方がこの検査を必要としています.診療放射線技師はその大切な検査を任されており,技術を駆使して最適な画像を提供する必要があります.
核医学検査
核医学検査は,放射線を出す薬を体の中に入れて,体の中がどのような状態になっているのかを調べる検査です.ガンの位置を調べたり,脳の動きを調べることができます.
最近では健康診断などでPET(ペット)と呼ばれる検査が実施されます.この検査は,がん細胞が大量の栄養を必要としているため,その栄養(糖に放射線を出す薬を組み合わせたもの)を体内に注射することで,がん細胞が取り込みます.そのがん細胞から放出される放射線を検出することにより,その部分(がん)が強調され,がんの存在を発見できます.
放射線治療
ガンは放射線を当てて治療することができます.診療放射線技師は放射線を照射する装置を操作したり,精密に照射をするために線量測定をします.
近年では,コンピュータの高精度化,またX線を用いた治療だけでなく陽子や炭素といった粒子を加速した粒子線を用いて行う治療もあり,診療放射線技師はこれまでより多くの知識を求められます.
CT検査
CT検査は,X線をつかって体を輪切りにして見えるようにする検査です.その輪切りにした画像を重ねることで3次元画像などを作ることができます.一般X線撮影ではわからない病気を見つけることができます.
近年のCT装置は数秒間で,身体の大部分を撮影でき,多くの方が検査を受けています.病気の早期発見から治療後まで幅広くCT検査は患者さんと関わりを持っています.診療放射線技師は単に画像を取得するだけでなく,患者さんの被ばくのことや医師に分かりやすい画像を提供する役割を担っており,日々向上心をもって診療にあたっています.
MRI検査
MRI検査は,磁力をつかって体内の水分を画像化する検査です.CT検査によく似ていますが,放射線を使いません.脳や血管などやわらかい組織の検査に優れています.
MRI検査における診療放射線技師の役割は,多くの条件の中から最適な条件設定を行い,MRI画像を取得し検査をすすめていくことです.また,日々の検査に備えて品質管理を行い,装置の安全性や性能の維持に努めています.
血管検査
血管検査は,造影剤と呼ばれるX線吸収の強い薬をつかって,血管を見えるようにする検査です.検査をしながら治療もできるので,患者さんの負担も少なくてすみます.
血管検査における診療放射線技師の役割は,血管撮影装置の操作はもちろんのこと,それだけにとどまらず,被ばくの管理・低減,造影剤の管理などを行いつつ,血管画像の提供や医師が見やすいように画像の加工を行っています.
超音波検査
超音波検査は,超音波を使って体の中を見えるようにします.放射線を使わない検査ですが,画像に詳しい診療放射線技師が検査をすることができます.
心臓では大きさや形,動き,血液の流れなどを検査でき.心筋梗塞や弁の不調を見つけることができます.また,腹部や乳腺の腫瘍の有無や,痛みの原因検索などに用いられます.このような検査を診療放射線技師が担い,病気の発見や精密検査を行っています.
読影補助
画像診断等における読影の補助(一次読影)を行います.診療放射線技師の読影を参考にして,医師が最終的な読影を行います.
静脈確保-2021年に追加された仕事内容
造影剤をもちいた検査や核医学の検査のために,血管(静脈)の確保や,医薬品を投与します.
医薬品を投与したあと,引き続きこれまで通り診療放射線技師が適切な画像を取得し,医師へ提供します.
2021年に医師から診療放射線技師へ業務移管が実施され、診療放射線技師の業務拡大(上記静脈確保など)が行われました。(詳細はこの下をクリック↓)
2021年に追加された診療放射線技師の仕事内容
〇静脈路確保(※2015年より造影剤注入装置の操作、投与終了後の抜針・止血可能)
〇核医学検査に利用するRI検査医薬品注入
〇動脈路に造影剤注入装置を接続・操作
〇下部消化管造影剤及び空気の吸引
(※2015年より造影剤及び空気の注入可能、また画像誘導放射線治療のためにカテーテルから空気吸引可能)
〇上部消化管鼻腔カテーテルから造影剤注入・カテーテル抜去
※公益社団法人 日本放射線技師会ホームページ 参照