川崎医療福祉大学創立30年記念誌
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7初代学長江草 安彦2代目学長岡田 喜篤川崎医科大学・川崎医科大学附属病院川崎医科大学・川崎医科大学附属病院社会福祉法人 旭川荘社会福祉法人 旭川荘川崎医療福祉大学川崎医療福祉大学合いからでした。1956(昭和31)年のことです。 その後、旭川荘は、総合福祉施設としてめざましい充実ぶりを見せていますが、祐宣の夢はさらに広がり、優れた人材育成を目指すようになりました。医療も福祉も、それを担う職員の力量に左右されることを痛感した祐宣は、まず「良き臨床医」を育てることに尽力しました。それが、川崎学園の誕生となり、川崎医科大学の設立となったのです。 川崎医療福祉大学は、今や、5学部17学科を擁する大学となりました。大学院には、修士課程12専攻、博士後期課程8専攻が設置されていますが、修士課程医療福祉学専攻の中には「遺伝カウンセリングコース」ならびに「発達障害(TEACCH)コース」があります。また本学は、世界中で唯一、米国ノースカロライナ大学TEACCH部と姉妹提携しております。今日、ますます重要性を増している臨床遺伝学的な支援や自閉症圏に対する支援について、本学は、日本における中核的な教育・研究機関として飛躍しようとしています。 また本学は、川崎医科大学とともにオックスフォード大学グリーンテンプルトンカレッジと姉妹提携しており、現在は、教員レベルの交流が持続的・積極的に行われています。 21世紀における私たちの課題は、「人について、社会について、地球について」考えることだと思います。本学は、その目標に向かってひたむきに歩みを続けております。 やがて、「良き医療人」を育てる目的で、「川崎医療短期大学」ならびに「川崎リハビリテーション学院」を設立し、そして、川崎学園創立20周年を記念する事業として「川崎医療福祉大学」の設立を計画したのでした。「医療と福祉の双方に通じた専門職」の養成を目的としたものでしたが、それは、まさに今日の社会的要請をみごとに予見したものでありました。 祐宣の唱えた「医療福祉」とは、「医療に根ざした福祉」という意味合いでスタートしたことは間違いありませんが、やがてこの考え方は、大きく発展していきました。祐宣の実践から察するに、医療福祉とは、「患者やクライアントを理解するときの視点」を意味し、今日の用語でいえば「医学モデルと社会モデルの双方を重視すること」にあったと思われます。医学モデルとは、その人自身に「より良く変化してもらうこと」をめざすものであり、社会モデルとは、その人自身が変化しなくても、「環境や支援を豊かにすることによって、その人の生活や人生を充実したものにすること」を意味します。 川崎学園の建学の理念は、「人間をつくる 体をつくる 学問をきわめる」に込められています。「人格を涵養し、健全なる心身状態のもとに、専門領域をまっとうする」というスローガンです。医療福祉という概念のもとに、私たちはその担い手として、自らを厳しく磨くことを大きな喜びとし、誇りとしている次第です。

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