川崎医療福祉大学創立30年記念誌
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 5 「かわらぬ思い、医療福祉の継承」 本学の名称に冠する「医療福祉」は、川崎学園創設者の川﨑祐宣先生が提唱した高邁な理念です。2代目理事長の川﨑明德先生は、その理想的な医療福祉を提供する専門的職業人の育成を実現し、1991(平成3)年に本学が開学しました。バブル崩壊が起きたその当時には、わが国の大学の多くが、学習内容・授業時間数の削減と教育の自由化・個性重視を基調とする無責任な教育政策に従っていました。しかし、本学では実学の教育を貫くという意向を堅持し、初代学長の江草安彦先生は人間愛とヘルスサイエンスの勉学を学生に力説されました。 30年が経過した現在になって、一般企業は「自ら考え行動できる能力」を大学生に求める時代となりました。当然のことながら、実学を経験した学生でなければ、自己の行動を具体的に決定することは困難です。知識も技術もなく、目的意識をもたない卒業生を雇い入れる企業は激減したということです。その現実をみるにつけて、本学の開学に貢献された先人の方々の先見性には、心からの敬意を表します。 本学の学部は、開学の際には2学部(6学科)でしたが、現在では5学部(17学科)となり、すべての学科の卒業生に対して、医療福祉に関する資格の取得を義務づけています。そのためには医療福祉の現場での臨地実習の必修化が重要で、卒業と同時に職業奉仕できる人材を育成しています。1996(平成8)年に2研究科(6専攻)で開学した大学院も、現在では3研究科(13専攻)となり、専門分野の学びを深化・発展させ、国際的視野を備えた指導的役割を担う多くの人材を輩出しています。本学の卒業生は既に総計で2万人を超え、「人間をつくる 体をつくる 医療福祉学をきわめる」という大学の理念を理解し、実践しています。 本誌は創立30年を記念して発行され、これまでに学生と大学の発展に寄与された方々の足跡を振り返っています。医療福祉のさらなる飛躍と人類の幸福を願って、巻頭の言葉といたします。川崎医療福祉大学 学長Akio Tsubahara椿原彰夫

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